C75にて第2号頒布決定! [Ni]STAGE2・冬コミ12月28日(日)東5ヒ‐54b
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[Ni]STAGE2・ゲーム業界人、居酒屋ヨタ話 番外編



北米のゲーム事情

―― 北米のタイトルってもの凄くスタッフが少ないんですよね。
プランナー1(以下プラ1) 少ない少ない。 FPSを主に作ってる所が多いからなんだろうけどプログラマがちょっと多いかな。 殆どプログラマで、あとはオペレーションを担当する人がいて、元々のエンジンでマップを作ってたり、恐らくFPSに関してはそういう作りになってるんじゃないかな。 で、エンジンを使って何本か作って回収するっていうビジネスモデルになってるんだけど、それだと全部同じ見た目になるんだよね。
―― 似たようなタイトルばっかりになっちゃう。
ディレクター(以下ディレ)  もう『Unreal Engine』(※1)使ったら全部一緒になっちゃうよ。
プラ1 グラフィックの差別化がなくなるんだよ。 だから『大神』みたいなタイトル(※2)ってそういう作り方からは絶対に出てこない。 「日本の開発は効率が悪い」ってのはよく言われるんだけど、効率は悪くても毎回ワンオフで作ってるからこそ、独特なゲームが出るんだよね。 あと日本の開発者ってそういう作り方をしたがらないんだよ。同じようなゲームを作る場合はツール化すると効率上がるってのは分かってるんだけど。
デザイナー(以下デザ) うんうん。やだなって思う。
プラ1 日本のゲームって、明らかに人数的にも期間的にも開発不可能なタイトルが結構出てるんだけど、それは開発者の良心に頼ってる部分が大きくあって。 良心って言っても無理矢理働かされている訳ではなくてね。
デザ そうそう、やりたいから率先してやってる(笑)。
プラ1 「俺らがやりたいからやってんだ!」って開発してるのが海外と日本の大きな差だと思う。 もちろん良いか悪いかは別として。けど、他所にはない独自の物を出していくってところが大事だと思うから。
―― だから規模としては北米とかの方が大きくて、タイトル数も多いけど、ゲームの独特性で言えば、日本のタイトルはまだまだ負けてないと。
プラ1 そこはまだ負けてないと思う。あと日本のゲームが世界一って言う人達がいるんだけど、別に俺らが世界のトップクラスを走ってるなんてことはこれっぽっちも思ってないんだよ。
プランナー2(以下プラ2) ないよね。
プラ1 だってやりたいことやってるだけだしね。 海外の現場で働いたことはないんだけど、聞きかじった感じで比較すると日本の開発は開発者の裁量が大きいと思う。 大きいからこそ勝手に出来るから、限界まで働けば恐ろしいクオリティで作ることも出来る。
ディレ どこまでつっこむかはもう自分次第だからね。
プラ1 でもみんななぜか頑張るんだよね。
プラ2 謎の頑張りを見せるよね。
一同 (笑)
ディレ 想像だけど、多分アメリカ人はそういう意味では頑張らないんじゃないかな。
デザ 頑張らないよ。うちの会社も外国人のスタッフ増えたけど、みんな7時とか8時には帰ってるから。
ディレ それで完成するスケジュールで活動してるんだろうね。
プラ1 でもそういう風に作ると、そういうレベルの物しか出来ないんだよね。 結局オーバークオリティな物を作る為に必要な物事って、やっぱり人の善意しかないんだよ。
ディレ 間違いない。「読み込みを一秒でも減らすぜ」とかね、そういうのはまさに良心だと思う(笑)。
プラ1 そうそう。プログラマ的には一秒でも減らしたいし。 気の配り方はやっぱり日本と海外では違うと思う。 常時ディスクの読み込みをしてる物よくあるけど、それって一回でもディスクアクセスをミスるとフリーズしたりするわけで、なんか美しくないんだよね。
プラ2 あとインタフェースとかがなー。
プラ1 北米タイトルのインタフェースはホントひどいよね(笑)。
プラ2 『オブリビオン』とかホントひどかったもん。
プラ1 何度やっても覚えないんだよ。「えっとLでー・・・、なんだっけ・・・」とか毎回なる(笑)。 インタフェースの洗練度は日本の方が凄いよね。 ぶっちゃけ慣れればどんなインタフェースでもいいんだけど、それってユーザが頑張らなきゃいけないところもあるから、ユーザーフレンドリーって意味では日本のモノの方が優れてる。 あとチュートリアルもそうだけど、やって慣れろみたいなゲームが海外では多かったりして。最近改善されつつあるけど。
デザ 基本的にいきなりほっぽり出されるからね。
プラ2 なんか適当に動かしてみて、なんとなく分かるよね?ってゲームが多いよね。 あとはマニュアルを参照って感じで。日本のゲームは自然なインタフェースになってるから、割とマニュアル見なくても出来たりするタイトルが多いんだけど。
デザ 見ないことを前提に作ってるからね。
―― 逆にその辺に気を配ってる海外のゲームってすごい面白かったりしますよね。
プラ1 うん。けどあんまりないなぁ。 まぁ最近はそういう日本のノウハウみたいなのを吸収してるゲームってちょくちょく出てて、『God of War』とかそうかな。
ディレ あれは良い出来だよねー。
プラ1 ぶっちゃけ『デビルメイクライ』を多分にインスパイアしてると思うんだけどね(笑)。 ただ『God of War』もそうなんだけど、やっぱレベルデザインのところでちょっと甘い気がする。 爽快感みたいなのはあるんだけど、いきなり大ざっぱになったり。
ディレ そうそう(笑)。
プラ1 あと『バイオショック』なんかもそうかな。 海外のメディアは『バイオショック』を絶賛してたけど個人的にはそんなに・・・。 水に電撃を撃って感電させたりとか、そういうギミックがいっぱいあるんだけど、どれもこれも趣味で使う感じなんだよね。
ディレ そうだね、別の武器でも全然倒せるし。スパナ(※3)で殴れば大抵解決する(笑)。
―― スパナ強いですよね、『バイオショック』(笑)。
プラ1 日本のタイトルの場合ってさ、ギミックは自然に使えるようにするか、もしくはバッサリカットするんだよね。 使わない物は入れない。例えばWiiの、『ガンダムハンマー』(※4)だっけ。
プラ2 ああ、『スカハン』ね。
プラ1 『スカハン』とか他に武器があったと思うんだけど、ハンマーが面白いからハンマー以外は入れてないんだよね。 多分海外だとアレコレ入れちゃうと思う。
―― 「あった方がいい」と思うか「ない方がいい」と思うかの違いでしょうか。
プラ1 そう。「あった方がいい」で作っちゃうと大味になるんだよね。 誰でも用意されたシステムがあるととりあえず使うんだけど、使ってみて思ってたより使えなかったとき、最初の武器に戻るのってストレスになるんだと思う。
ディレ まぁでもそれは日本人の考え方なんだよ。 制限ある中で遊ぶってのはね。北米の場合はいっぱいあるからお前ら好きなの選べよ、っていうのが基本だよね。 RPGなんかもほっぽり出されて、何してもいいよっていう具合で。
プラ2 でも『オブリビオン』のいつの間にか盗みをしていた感とかひどいと思う(笑)。
プラ1 ふざけんなって思うよね(笑)。うっかり流れ弾に当たってロードが殺しに来るとかさ(笑)。
一同 (爆笑)
プラ2 多分日本人が作ったらロードには当たらないようにするだろうね。 もしくは斬りつけない限りは攻撃したことにならないとか。
デザ 明示的な自分の意志でもってなにかをするってのが絶対条件だと思う。
―― 北米のタイトルって偶発的要素を重視しますよね。 プレイヤーが世界の全てに触れるようになってるから、偶発的に何かが起こるのは面白いことって向こうの人は考えるんだと思うんですけど。
プラ1 でも日本人の場合は、無意味に登れていい場所に登っても何もないから行かないし、そもそも行かせないようにする。 行動の先に意味がないとダメだと思うんだよね。
ディレ ユーザの行動を制御しようとするよね。
プラ1 なんでも触れる面白さっていうのは、すぐに劣化しちゃうと思う。 『オブリビオン』もそうなんだけど、例えば犯罪にならないように物盗んだりとか出来るし、アイテムも膨大な種類があるんだけど、別に必要ないからやらなくなる。

(※1)Unreal Engine ― 北米のゲーム会社EpicGamesによって開発されたゲームエンジン。 1998年『Unreal』で初めて実装され、その後バージョンを3まで重ね、現在に至るまで多くのタイトルで採用されている。 国内ではスクウェアエニックスが『ロストオデッセイ』、『ラストレムナント』で使用している。
(※2)『大神』みたいなタイトル ― 水墨画のようなグラフィックが『大神』最大の特徴。 当然そういったグラフィックの表現は『大神』独特のものであり、他社製ゲームエンジンなどを利用することでは得られない表現であると言える。
(※3)スパナ ― スパナで殴れば大抵のことは解決するよね。
(※4)『ガンダムハンマー』 ― 『SDガンダムスカッドハンマーズ』の事。 Wii本体と同時に発売され、SDのコミカルなキャラクター、ガンダムなのにハンマーしか使わないというマニアックなゲーム性などで話題を呼んだ名作。 筆者主観ではかなり面白かった。某スポーツゲームより遙かにリモコンを振り回すのでWii同発のタイトルの中では一番筋肉痛を誘発したのではないかと想像している。


北米のゲーマー達

―― アイテムの数で言えば『モンハン』も負けてないと思うんですけど、向こうじゃ全く流行ってないみたいですね。
プラ1 アメリカで『モンハン』が売れない理由の一つは人が集まらないからだと思う。
ディレ そもそも家同士が遠いからね。
デザ アメリカ人の開発者に「なんでモンハンやらないの?」って訊いたことあるんだけど、「あんなたるいゲームできねーよ」って言ってた。 モーションが遅いとか。「絶対あんなゲームやってたらPSPを窓からぶん投げる」って(笑)。
一同 (爆笑)
プラ1 あとはね、爽快感だと思うよ。
ディレ そうそう。始まってすぐ爽快感がないのが辛いんじゃないかな。
―― 向こうのゲーマってドSが多い気がしますね(笑)。
デザ ハードに対しても容赦ないよね。ぶち切れたらコントローラ叩き付けるから(笑)。
プラ2 向こうのゲームセンターってさ、ナスレバー(※5)なんですよ。
―― ああ、ナスレバー(笑)。
プラ2 あれって、調べたら折らないようにする為の形状らしくて(笑)。
一同 (爆笑)
プラ2 アメリカ人ってゲーセンでゲームやってると「ガンッ!」ってレバー折っちゃうらしいんだよね(笑)。 だからぶっとくてニュートラルに強い反動で戻るようになってるらしい。
―― 本気になり過ぎ(笑)。
プラ1 なんのゲームだったか忘れちゃったけど、アメリカ人とネットでゲームしてて一番凄かったのが、戦場で無視されたこと(笑)。 FPSとかで戦場に行くじゃないですか。そしたら敵がジープに乗って襲いかかってきて、「うわ轢かれる!」と思ったら俺を無視して別の味方のところにドーンって突っ込んでいったんだよね。
一同 (爆笑)
プラ1 それを俺は後ろで見ていて(笑)。 なんか大きな乗り物に乗って移動するときとか、俺が走って近づいてるのに味方すら無視して行っちゃうんだよ。 意味がわかんないよ普通に(笑)。
―― あり得ない(笑)。
プラ1 思想の違いなんかもあると思うんだけど、使えないヤツを容赦なく無視する。 すぐやらなくなったよ(笑)。一瞬で殺されるより全然辛い(笑)。
一同 (爆笑)
プラ1 まぁそのゲームは称号みたいなのが見えていて、低ランクプレイヤーってのが分かるからだと思うんだけど。
―― 対戦ゲームで無視されるって凄い(笑)。
プラ1 凄いよね。殺してくれよ(笑)。 なんかゲームを面白くしようってあんまり考えてないんじゃないかな。勝つこと自体が面白いって考えなんだと思う。 雑魚なんか相手にしてもしょうがないっていう。
デザ そうね、『ソウルキャリバー』とかもレベルが違うと対戦そのものをしてくれなくなる。 完全にランダムのマッチングとか必ずはじかれるし。
プラ1 容赦なくバグ技も使うしね(笑)。勝つためには何でもする感じがする。
プラ2 格ゲーなんてまさにそうで、まずキャラ勝ちするしね(笑)。
―― キャラ勝ち(笑)。
プラ1 弱いキャラでがんばるっていうのがたぶん理解不能なんだと思う。
ディレ キャラに愛を持ってそいつでがんばるとかたぶんそういうのがないんだね。
プラ1 日本ってさ、闘劇(※6)とかある程度キャラがばらける事が多いじゃないですか。 海外のEVO(※7)とかさ、キャラが同じなんだよね。 『スト3』とか春麗とケンしかいないんだよ(笑)。
プラ2 一番最近のEVOは、決勝までの5人ぐらいが春麗とかだったはず(笑)。
ディレ FPSもそうだよ。装備みんな一緒だもん。 俺はずっとサポートに徹していようとかそういうヤツがいない(笑)。
プラ1 『フロントミッションオンライン』だったかな? あれもさ、アメリカ人って全員で突入しちゃうの。戦術とかないんだよ。 「ウオー!」ってみんな行っちゃう(笑)。メカニックとかいなくて、全員で殺しに行く。アホなんじゃないかと思った(笑)。
一同 (爆笑)
ディレ いやーアホだよね、基本的に(笑)。
プラ1 それによって結局死んでるしね(笑)。 だから『連ジ系』(※8)のゲームの面白さって彼らには伝わらないんだと思う。 二人ともガンダムとかで出撃して(※9)すぐ殺されて終わるじゃん。
一同 (笑)
プラ2 陸戦型ジムとかでサポートに徹する人の気持ちなんか理解できないんだと思う。
デザ うん、理解出来ないと思う(笑)。
プラ1 あれは日本人的だよね。 片方が高コストのヤツを選んだりすると、もう片方は自重して安いの選ぶじゃん。 で、弱い方が囮になって、強いヤツが倒すみたいなのが割と戦術として固定されてるから。
プラ2 暗黙の了解でどっちが先に倒されるとか決まってるもんね。 最初に高コストのやつを復活させるために、高コストのヤツが前に来て、低コストの方は後ろからチクチク撃っていく。 で、一番最初に前の方に墜ちてもらって、今度は前後が入れ替わるみたいな、割と野良でやっててもそこら辺の戦術はだいたい成立するんだよね。
プラ1 全くの初心者じゃ無い限りね。 何にもやったこと無い人でいきなりガンダムとか選ぶってのはあるけど、ちょっとやってる人だったら、ゲーム的に勝つためにどうするかは何となく判る。
プラ2 それぐらいのセオリーはすぐ判るよね。
プラ1 やっぱり最終的に勝てばいいわけだから、戦術を駆使するのが正しいんじゃないかな。
―― 協力して勝つって感覚がないんだろうなぁ。
プラ1 無いよね。資本主義が行き過ぎちゃってる(笑)。
一同 (笑)
―― それってでも北米だけなんですかね。ヨーロッパとかどうなんだろう。
デザ ヨーロッパとかそもそもネットで繋がらないんだよね。
プラ1 まぁそうだろうね。距離もあるし。でも個人的には北米に顕著な傾向だと思う。 結果的にゲームが面白ければ負けてもいいっていう発想がないんだと思う。 日本人は割と面白かったらそれでよくて、名勝負になると「負けたけど面白かった」ってなるよね。
ディレ たぶんアメリカ人は負けたらコントローラを叩きつける(笑)。異常に負けず嫌いだよね。
デザ ボイスチャットをオンにするとすごいよね。
プラ1 凄い勢いで罵倒してくる(笑)。 あと『リッジレーサー』とかでボイスチャットをオンにしてると絶叫してくるよね。「ふおー!」とか(笑)。
一同 (爆笑)
デザ 相手の声を聴いてるだけで面白い。すごいブツブツ言いながらやってる人とかいるし(笑)。
プラ1 スピンして怒り狂ってるとかね。そんなテンションの高さは無理だなーって(笑)。

(※5)ナスレバー ― 正式名称は「ナスビ型レバーボール」らしい。 ナスビなのにボールとは。 レバーなどを販売している三和電子公式ホームページを見ると「シャフトなどが太くなっており、強度が増しております」と書いてあったりする。
(※6)闘劇 ― 対戦格闘ゲーム大会の一つ。主催はアーケードゲームの雑誌『月刊アルカディア』を発行しているエンターブレイン。 2003年3月に第一回が開催され、以降2008年まで計六回が開催されている。 毎回609タイトルの格闘ゲームでそれぞれ試合が行われている。
(※7)EVO ― アメリカで年一回行われている対戦格闘ゲーム大会『EVOLUTION』のこと。 アーケードの対戦格闘ゲームの他『大乱闘スマッシュブラザーズ』の対戦も行われている。 2004年大会、『ストリートファイター3』でのウメハラ氏の逆転劇は有名すぎるほど有名。
(※8)連ジ系 ― 『機動戦士ガンダム 連邦vsジオン』より、このシリーズのゲームを総じて連ジ系などと呼ぶ。 余談だがシリーズがついに『ガンダムvsガンダム』まで行ってしまい、筆者はアーケードで初めて見つけて大変驚いた。 あんなのいいのか・・・。
(※9)二人ともガンダムとかで出撃して ― 機体にはそれぞれコストが設定されており、撃墜されたときそのコストが総コストから減算される。 最終的にコストがゼロになると負け。ガンダム二機だとそれぞれ一回ずつ墜ちたらそこで終了になるのでマゾいプレイを強いられる。


番外編はここまで。
[Ni]STAGE2での本編もお楽しみに!